JAAA 一般社団法人 日本広告業協会

おい、広告。

#05 HIROKI AKIYAMA 【HANACO】

広告ってなんだ?“CMってこんとじゃん、ポスターってフリップ芸じゃん。”

劇場やテレビで大活躍の傍ら、
ラジオCMの公募コンテストでの受賞経験もあるハナコの秋山さんに、
広告の可能性やクリエイティビティの活かし方、改善点についてインタビュー。
広告とコントの共通点や、映像コンテンツの魅力とは?

CMってコントじゃん

秋山さんは広告がお好きだと伺いました。広告に対する印象は?

CMを見ていて、いやもうこれコントじゃん、と思うことはめっちゃありますね。汐留のアドミュージアムで広告の展示をやっていて、昔のCMが見られるパネルがあったんですけど。そこで、男性がゴルフ場でティーショットを、なんかやたらと縮こまったフォームで打っているみたいなフリがあって。で、そのあとバラし(オチ)で、その男性が自分の家の狭いベランダで、その縮こまったフォームで素振りしている。最後、「広い家に住みましょう」みたいな。お笑いじゃん、これ、と。あと、そこで見て覚えているのは、コーヒーの中吊り広告ですかね。かっこいい俳優さんの写真に、情けない言葉が入っているシリーズ(「誕生日おめでとう。の返信が僕にだけない。」「『彼氏?いませんよ』と彼女が言ってる」など)。で、最後のコピーに「それでも、前を向く。」と書いてあるみたいな。いやこんなんフリップ芸じゃんとか。

「写真で一言」ですね。

いやそうなんですよ。かっこいい俳優さんをフリにして。いやこれ、むっちゃお笑いじゃん、って思いました。ユーモア路線の広告は特に。

広告事例にとても詳しくてびっくりしました。

ああ、誰が考えたんだろう、みたいに惚れ惚れするんですよね。なんか、どのぐらい前か忘れましたけど、普通に電車乗っていたら駅伝のタスキがぶら下がっていて。うわすげえみたいな。自分自身がアイデアマンファンというか、誰が思いついたんだろう、とかすごく考えますね。

秋山さんはどのように「面白い」を考えているのでしょうか?

とりあえずやってみてます。やってみて反応見た上で、見えてくるものがいっぱいある。なので、同じ台本や同じ舞台でも、演出変えてみたりとか配役変えてみたりとか、いろんな調整をします。初日の公演と千秋楽で言ったらやっぱ全然中身変わってるし、やっぱり卸してみないと分かんない。売れてる芸人はみんなそうしてるイメージです。あと、SNSに僕一コマ漫画描いていて。それも「ふふっ」てなったらいいな、みたいなのを載せてるんですけど、こりゃ跳ねるぞと思って描いたら跳ねなかったり、「これあんまかな、ま、僕は好きだけど」みたいなやつがこう回ってくれたりとかは、結構まだ掴めないですね。

一方で、広告は試す行為がしにくいかもしれないですね。

思いますね。映像とかは出してからの修正が難しいですよね。なのでその分、世の中に出す前に叩いているのかなっていうイメージです。コピーとか広告一枚にしても、何回も叩いて叩いて、皆さんで直し直しをしている。それを僕ら芸人は、お客さんの前でやってるっていう。お金取りながらやってるっていう。そこも楽しんでくれてる、みたいな感じかも。

舞台ではできない、映像ならではの表現

ラジオCMの公募コンテストを受賞されている秋山さんですが、テレビCMを作りたいとかは考えますか。

うわー、CM作りたいまでは考えたことないですけど、映像は元々興味があって。お笑いも、舞台コントを映像で写しただけではなくて、ちゃんとカット割りがあって、スタジオセットがあって、みたいなものをやりたい欲が多分僕強くて。カメラがあるだけでもだいぶ考え方が変わるので。僕はどっちかというとそっちのその映像コントならではの表現を狙いにいっていました。ちゃんとその、褒められたくて。

(笑)映像コントならではの表現というのは。

キングオブコントの会っていう番組がTBSであって、そこでできたコントが、サスペンスドラマみたいな設定で。探偵さんが、宿泊者をホテルロビーに集めて、「犯人はこの中にいる!」っていうベタなシーンを、狭いとこでやらなきゃいけなくなったみたいな設定です。

詳しく聞いてもいいですか。

例えば、都会のビジネスホテルの細長いあの、もう自動ドア開いたらすぐカウンターあってエレベーターが横にあるだけみたいな自販機一個あるだけみたいな。あの、ものすごく狭い空間に集めなきゃいけなくなったみたいな設定で。宿泊者を10何人と集めて「犯人はこの中にいる!」と言ったら、だいたいワンショットで、一人一人じゃん、じゃん、じゃんって写していくじゃないですか。でも、今回は場所が狭いから、必ずその人の後ろに3〜4人顔が見切れ続けるっていう。で、最後も、じゃーん!って集まった時ももう顔まみれになる、みたいな。

あー!面白いです(笑)

これ映像じゃないとっていう、編集やカメラがないと舞台じゃ面白がれないことはあると思います。他の芸人さんで、映像コント脳だなと思うのはロバートの秋山さんとかですかね。同じ回のキングオブコントの会でも、それもなんかちょっと火サスっぽい、夕方やっているドラマみたいな雰囲気がフリであって。

ロバート秋山さんは、そういうの大好きですね。

そうそう大好きですよね。で、エンドクレジットが流れてきて、その裏で、「ははは」「待てー」「返せよー」みたいな、なんかこう、登場人物たちがじゃれ合うノリ(スペシャルドラマ特有のエンドクレジットに挿入されるような舞台裏映像)を面白がるコントみたいな。それを見て、うわー映像で遊んでるなと思いますね。なんかやっぱ舞台でやるコントとは、設定出しが完全に違うなと思うので。そこはすごい差を感じますし、僕はそっちが好きですね。

広告が希望になった瞬間

何かを考える仕事って、その、すごく健康と相性悪いなと思っていまして。

悪いですね。逆に、皆さんはどうしているんすか?(笑)だって、同僚はアイデアマンだらけですよね。ネタ出しをしないポジションなんていう人はあんまり近くにいないわけで。でも、芸人はいるんですよ、いっぱい。ネタ出しをする人は、考える時間を取って、でもどこかで諦めて寝るわけじゃないですか。どっかで諦めて、仕事じゃないことして。(笑) まあでもその諦めが必要ない人たちもきっといるのでしょうが、自分はそっちじゃないので、そっちを目指して、いつかなれんのかなと思って日々やっていますけど。アイデアを出せてないモヤモヤも、健康に(精神的に)悪いじゃないですか。

はい、夢の中でも机に座ったりして。

寝られているから、幸せなわけじゃないじゃないですか。やっぱり、アイデアを出せた時が一番幸せじゃないですか。その、その時しか報われないこの感じ。わ、思いついた!気持ちいい!っていう。芸人だったら、ウケた!みたいな。でもCMとか、広告もやばそうですね。世の中にバン!て影響与えた瞬間。それはね、何事にも代え難い。じゃないと不健康やらないですよね(笑)

やや不健康になりつつも、うーんと考え続けたものが、世の中に発散して、広がってくみたいなことは、お笑いや広告に限らず、楽しいでしょうね。

そうですね、楽しいですね。ちょっと話ズレちゃうかもしれないですけど、コロナ禍の時に、ポカリスエットのCMを見て。リモートで一人ずつが自撮りしているスマホに向かって歌っていて、それが合唱になっていて、最後みんながそれぞれの場所で空を映したら青くなって、ポカリスエットのロゴ、みたいな映像(「ポカリNEO合唱」)を観た時に、なんか「あ、同じお題でやってたんや」って思って。

その時は、いつもの「うわすげえ、こんなんあるんだー」「うわあCMおもしろー」とか、別ジャンルへのリスペクトじゃなくて、「あ、答え見せてくれた!」って思いました。「同じように色々、いつも通りできない制限の中、この人たちもやっているんだ」みたいな。なんか、それがすごく嬉しかったんですよね、なんかね。

広告業界の中でもかなり希望になったCMです。

あ、そうなんですね。なんかこう、同じ課題に向かえている感覚になったのがなんかこう、あの時だけの感覚ですね。希望でした、本当に。すげえって。

秋山さんが考える、広告の力とは?

冒頭お話ししたみたいに、こう、広告の内容を覚えているんですよね、めちゃくちゃ。ぶっ刺さる時の、その深度が深いというか。他にも、あるビルに貼られている広告で、言葉が何行もあって。上から何行目かに、3.11の津波はこの高さです、みたいな。あんなんて、もう一生忘れない、死ぬまで忘れないんだろうなみたいなものを与えてくれるのは、広告の力なのかなと思いました。

編集後記

インタビューの流れでスキップされない広告のアイデアの話になり、最近は視聴者に対して「スキップしないで!」と訴えかけるCMなどがよくあるとお伝えしたところ、「なんかあの広告バナーとかで、ちっちゃいバツがあるじゃないですか。よくウザい広告の例としてイジられてしまうやつ。じゃあ1回ドデカいの出してくれたら多分逆に見るじゃないですか。優しい!みたいな(笑)」と、すぐにアイデアが。さすがのアイデアマン具合だな、と驚いていたら…。「でも、そういうのってメタというか…」と、あくまでもコントや物語の中で面白いものを作っていこうとする秋山さんは、とてもかっこよかったです。

取材・文
ADKマーケティング・ソリューションズ
EXクリエイティブ本部 第1EXクリエイティブ局 守田ルーム プランナー
黒川 大成

MOVIE

おい、広告。

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