第55回 懸賞論文 受賞者 伊牟田 麻耶氏

2025JAAA
AWARD

2025年 CREATOR OF THE YEAR賞 受賞者決定!

第55回懸賞論文 一般部門 第3テーマ:会社組織や会社内の課題

伊牟田 麻耶

博報堂

博報堂生活総合研究所
上席研究員

『「言語化できない価値」を資産に
 -AI社会における広告業界復権のシナリオ- 』

受賞作品はこちら

プロフィール

ファッション誌ライター、テレビ局、営業、コピーライターなど複数の職域を横断してキャリアを積み、2017年博報堂に中途入社。外資系トイレタリー、飲料、化粧品、ゲームなど多様な業種のマーケティングに従事。2025年より博報堂生活総合研究所上席研究員。組織や仕事における「言語化しにくい価値」に関心がある。長年の「SLAM DUNK」ファン。

受賞コメント

この度は栄誉ある賞をいただき、大変光栄に存じます。
広告が大好きでこの業界に入りましたが、ある時期、広告業界そのものを嫌いになりかけたことがありました。その苦しい時間の中で見つけたのが、「言語化できない価値」という問いです。もし今、組織の中で孤独や無力感を感じている人がいたら、この論文が小さな支えになればとても嬉しく思います。執筆を支えてくださった先輩や友人に、心より感謝申し上げます。

審査員からのコメント

その血の通った言葉に引きつけられた一本でした。説明しづらい仕事内容、不本意な異動の戸惑い、越境する人との出会いなど、どれもわたしたち広告人にとって実感的であり、だからこそ「社員や文化を育てることは人にしかできない」と述べ、組織の血流を滞らせない重要性を説く。人工血液がいまだ完全には実用化されていないように、その営みはまだAIでは代替できない尊い領域なのでしょう。経験知という言語化しにくい価値を可視化するBBIの提案も具体性を備えていて、読後に力が漲るような魅力ある論文でした。

朝日広告社 川津絹代

AI時代における広告業界の価値を、「言語化できない業務」への再評価という視点から捉え直した着眼が興味深い。生成AIが急速に発展し力強い相棒となる一方で、人間らしさが取りこぼされがちな現代において、経験知を持つ人間同士の共創知こそ広告会社が培ってきた資産であるという指摘には説得力がある。人間であることを武器にAIと共存しながら成果を生み出す、血の通った組織や土壌づくりへの示唆に富む論考である。

東急エージェンシー 井上友香理

自身の経験からの課題抽出、業界理解からの解決策提示、体験からの体温、など元営業職とは思えない優れた論文で、業界へのリスペクトも感じました。特に課題抽出と前向きな再定義、解決策考察は筆者自身の人生のスタンスを思わせます。中でも「AI社会の変化は、広告業界にこれまでの強みを失わせつつある。しかしその逆風は、未評価の資産を再発見し、再定義する契機をもたらした。」という一文はとても良い一文と感じました。

日本経済広告社 斎院広康