第55回 懸賞論文 受賞者 柏木 爽良氏
第55回懸賞論文 新人部門 テーマ:自由
柏木 爽良
博報堂
メディアデザイン事業ユニット メディアビジネス基盤開発局
データテクノロジー部
データサイエンティスト
『「なんとなく」から価値創造へ
~ゼロコスト時代の新しい生活者像~』
プロフィール
2000年生まれ。早稲田大学大学院先進理工学研究科にて応用物理学を専攻。在学中は「人間の発話」に興味を持ち、機械学習を用いて唇の動きから発話内容を推測する読唇術の研究に従事する。2025年、データサイエンティストとして博報堂に入社。現在はメディアプランニングのソリューション開発や、データ・テクノロジーを軸としたコンテンツ開発に携わる。
受賞コメント
この度は栄誉ある賞をいただき、心より御礼申し上げます。本論文の着想は、AIを巡る世の中の議論と、身近な友人たちの日常との間に感じた小さな違和感でした。データサイエンティストとして、AIによって促される「なんとなく」の行動を、一人ひとりの内発的欲求が満たされるような楽しい行為へと導くことができるよう、日々願いながら、今後も開発業務に向き合ってまいります。最後に、日頃より温かいご指導を賜っている皆様に、この場をお借りして感謝申し上げます。














生成AIを使って行われている事象を「刹那的で無目的な遊び」として着目し、そこからSNACKモデルで再定義した視点が新鮮で鋭い。AIDMAやAISAS、DREAMなど既存モデルでは捉えきれない行動を整理した構成に説得力がある(頭文字へはめ方に違和感がないのも好印象)。さらにより習慣化された段階のMEALや自律的な段階のCOOKへと発展させるところまで論を深めたところに面白さと非凡さを感じた。
クオラス 中原敬介
本論文では、生成AIの台頭によって生活者が「なんとなく」の選択や消費を繰り返しやすい状況に陥っている点をまず指摘している。次に、AIDMA・AISASのようなモデルに照らし合わせたSNACKモデルを提唱しており、一つの型として理解のしやすさがあった。一方で、SNACKモデルの先に論じているMEALやCOOKは無理やり型化した感があり賛否分かれたが、現在の生活者の消費行動を端的に示している。
大広 清水純
生成AIは、行動に伴うコストや失敗のリスクを大きく引き下げ、人々が明確な目的を持たずとも多様な挑戦に踏み出す社会を促すと、筆者は述べる。それに応じて広告のあり方も変容すると指摘する。一方で、その利便性は低賃金労働や大量のエネルギー消費に支えられている。社会に内在するトレードオフが垣間見える、示唆に富む論考だ。
読売エージェンシー 笠本和行