第55回 懸賞論文 受賞者 田中 聡志氏

2025JAAA
AWARD

2025年 CREATOR OF THE YEAR賞 受賞者決定!

第55回懸賞論文 プレゼン動画部門 第2テーマ:広告プランニング・ソリューション

(※テーマ:一般部門(第1 ~第3)のいずれかを選択)

田中 聡志

電通ダイレクト

ソリューション本部 第1ソリューション室
クリエイティブ1部長
クリエイティブディレクター

『クリエイティブディレクターの絶滅、あるいは進化論。』

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プロフィール

2018年電通ダイレクト入社。ダイレクト領域を主軸に、認知~獲得をシームレスに融合させたクリエイティブ設計を行う。ミドルバジェット帯における課題解決に注力し、2023年よりAI活用を推進。セプテーニグループの社内新規事業コンテスト「gen-ten」での2年連続入賞(2024年度優勝・2025年度準優勝)を経て、AIとバーチャルスタジオを活用した制作スキーム「MiD AI Studio」を確立。現在、AI対応型クリエイティブディレクターの集約・育成を目的とした、新たなクリエイティブチームの発足に向けて進行中。

受賞コメント

選出いただき大変光栄に存じます。 AIの進化により、多くの知能労働職種の「絶滅」が叫ばれる中、私は逆に、10代の頃のような「わくわく」を取り戻すことができました。 技術が職能を民主化する時代において、最後に差を生むのは、尽きることのない「好き」と「熱中」に他なりません。本論文は、AI時代を乗りこなす私の生存戦略であり、決意表明でもあります。ご指導いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。

審査員からのコメント

この作品は、自分の経験も踏まえて、「AIは敵か?それとも、最高の相棒か?」の問いから、「AI対応型クリエイティブディレクター(ACCD)」が非常に重要になると展開し、非常に共感を受けました。また、AIは仕事を奪うのではなく、我々から「作業」を奪い、「創造の喜び」という初期衝動を返してくれると実感した。と示されていますが、同感するところが多く、プレゼンもわかりやすかったです。特にテーマに合わせたAIが作った歌が印象的でした。

I&S BBDO 高澤正行

本稿は、生成AIの進化に揺らぐクリエイティブディレクターの役割を「絶滅ではなく進化」と捉え直す意欲的な論考です。筆者がAIとの出会いを「2度目の初期衝動」と語るように、つくる喜びが全編から伝わってくる、まさに動画部門にふさわしい内容でした。特に最後のテーマソングはその初期衝動を読者に伝える手法として秀逸で、プレゼン動画部門の可能性を最大限に活かした論文でした。AIの進化が速すぎて応募時点と審査時点では状況が異なるとの指摘もありましたが、それもまたAIと向き合う現実であり、能力拡張として捉える筆者の視線の先に希望を感じました。AI時代のクリエイティブの在り方を考えるうえで示唆に富む提案でした。

朝日広告社 川津絹代

民藝運動を代表する陶芸家の一人、河井寛次郎は「手考足思」という言葉を残しました。本作の筆者もまた、AIの是非を「論じる」のではなく「つくるのが楽しかったあの頃」に擬似的に転生して、手で考え、足で思いを深める創作を実践しています。これは「クリエターの進化」というよりは、むしろ、半分子どものような状態に時間を巻き戻して、でもその頃にはなかったAIという玩具で遊んでいる「創造的退行」のように見えます。論文では表現が難しいこの原初的な高揚を、実践的に伝えてくれるプレゼンテーションです。

博報堂 伊藤耕太