第53回 懸賞論文 受賞者 稲葉 巧氏

第53回懸賞論文 新人部門

「私の言いたいこと」(テーマ自由)

①稲葉巧

稲葉 巧

博報堂

αクリエイティブ局 永渕チーム PRプラナー

『広告活動は倫理とどう向き合うか
~2つの広告態度から読み解く~

プロフィール

宮城県出身。2000年生まれ。 2023年東京大学経済学部卒業。同年、㈱博報堂入社。 学生時代は、国際金融、労働経済学を研究。精神疾患や高齢者の孤独の問題に関心がある。 通信・化粧品メーカーをはじめとした企業のCMやイベントなどの企画に従事。

受賞コメント

この度は身に余る賞を頂戴し、大変光栄に存じます。受賞に恥じぬよう、「倫理」、そして困りごとを抱える「個人」に向き合って、成果を上げていかねばならないと身が引き締まる思いです。執筆する中で、広告への更なる敬意が生まれ、広告が主体的な営みであることを実感しました。
業務経験が短い中で、執筆するきっかけを見つけられたのは、常日頃からあたたかいご指導を頂いているからこそです。日々ご指導いただいている皆様、支えてくださっている皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。

審査員からのコメント

広告会社はあくまで事業主を支援する者であって行為そのものをする者ではない。そんな引け目を感じる瞬間がある。本作品は広告を発注する立場、企画制作する立場、その広告を受け取る立場、それら全員の「倫理の境界線」の引かれかたが異なり、摩擦により更新される動きに注目した。そして広告会社は摩擦を予知できる「感度高い支援者」だからこそ、境界線に関する合意形成を主体となって行為することができると語ってくれました。勇気と夢をいただきました。

朝日広告社 大城勝浩

広告会社がどう倫理に向き合うか、という非常にセンシティブで今日ますます重要なテーマに対して真正面から取り組み、見事な論文となっています。炎上などについて論じた応募作品はいくつか目にしましたが、ここではその根源的なところに遡って、深い考察がなされています。積極的な倫理姿勢にもとづく広告態度こそが社会の倫理の境界を前進させる、という主張は多くの広告人が非常に勇気づけられるものであり、新しい世代からこのような提言がなされたことに、感銘を受けるとともに高く評価しました。

日本経済社 深澤博

今日、広告をはじめコミュニケーションをなりわいとする人間にとって、本稿が取り上げる「倫理」は最重要の課題と言える。しかし倫理という物差しは、人によって異なり、時代とともに変わるため、みな扱いあぐねるあまり、社会的規制やその遵守といった方向につい流れがちになる。本稿はそのような易きに流れず、世の中を良くしたいと願うからこその主体的な倫理アクションを評価する。「倫理を外圧としてのみ捉えるのではなく、それと主体的に関わって推し進める広告活動に、私は挑戦していきたい。」との締めくくりに心動かされた。

読売広告社 中村信介

Your Website Title