JICDAQ品質認証事業者インタビュー・朝日広告社

デジタル広告の品質課題を解決するための認証機構として設立された「一般社団法人デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)」は、2021年11月に初年度の認証を付与してから4年目を迎えます。JICDAQ設立・運営に協力する一般社団法人日本広告業協会では、JICDAQ品質認証事業者である朝日広告社の仲野秀悟様にお話を伺いました。

仲野 秀悟
株式会社 朝日広告社
メディアプロデュース本部 メディア第三局

2004年の新卒時からデジタル広告に携わり、キャリアとしては約20年。朝日広告社には2008年に入社し、在籍17年目を迎える。現在は、デジタル広告関連部門で局長を務め、組織の運用型広告体制やデジタルメディア取引における品質管理の責任者としての役割を担っている。

※本記事は2025年8月にインタビューした内容を掲載しております。

デジタル広告に対する会社の意識

総合広告会社としては、非常に早い段階から運用型広告等デジタル広告への取り組みを始めています。私自身も、デジタル広告に強みを持っている総合広告会社という点に魅力を感じて、弊社に入社を決めました。かつては、デジタル広告のノウハウがメディアレップ側に蓄積される体制を取ることが一般的でしたが、弊社には当初から社内でノウハウを蓄積し、完結させてきた歴史があります。

現在では、デジタル広告の運用が一般的になったため、総合的にクライアントの課題に向き合う中で、デジタル広告を課題解決の「手段の一つ」としてしっかりと活用していくことを意識しています。

JICDAQ認証の取得理由と意識の変化

JICDAQ設立以前から、業界課題としてネット広告の不正問題(アドフラウドなど)が大きく取り沙汰されていて、業界全体で取り組むべき課題であるという認識を持っていました。クライアントを支援する立場として責任を負うため、また、業界を挙げての取り組みに参加することに大きな意味があると考え、認証取得の検討を始めました。

広告主からは、安全・安心な広告配信は「当たり前(前提)」として信頼されていると感じています。この信頼に応えるため、ブランドセーフティや配信面の把握・コントロールには、以前から注意して取り組んできました。一方で、デジタル広告は誰でも簡単に出稿できてしまうため、知識が浅いまま配信を始め、知らないうちに不適切なサイトに広告が配信されてしまうケースが多いのではないかと懸念しています。そこで、JICDAQ認証事業者であるという裏付けがあることで、クライアントに安心して仕事を依頼してもらえるという分かりやすさがあります。

認証を取得していることで「自社のデジタル広告は大丈夫」という安心感が社内で醸成されています。営業担当者がクライアントから掲載品質に関する質問をされた際に、「JICDAQ認証を取得しているので安心してください」と明確に説明できるようになりました。

社外では、プロポーザル(提案依頼)の参加資格として、デジタル広告の品質対策を行うことを求められるケースが増えてきています。具体的にJICDAQ認証取得が指定されている場合もあります。特に、官公庁や各種団体での案件はその傾向が強いですね。

また、業務プロセスへのプラスの影響もあります。JICDAQ認証を取得しているパートナー企業とは、同じ品質水準で業務を進められるため、プロセスが標準化され、連携しやすくなりました。

アドベリフィケーション対策の現状

全社的に特定のアドベリツールを常時導入しているわけではなく、配信面を把握した上での配信設定を徹底しています。その上で、クライアントからの要望や、配信リスクが高いと判断される場合には、アドベリツールの導入を必須にするなど、ケースバイケースで使い分けています。ツールを利用する場合は、クライアント側のポリシーやグローバルでのルールに基づくことが多いです。
日々の運用では、アクセス解析ツールで異常なトラフィックのチェックを行うと共に、IHCリスト※1・CODAリスト ※2や独自に蓄積してきたブラックリストを活用して対応しています。

※1 警察庁/インターネットホットラインセンター(IHC)が提供する違法、有害サイトのリスト
※2 一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)が提供する著作権侵害サイトのリスト

デジタル広告に関する社内での取り組み

デジタル広告に関する社内研修を毎年実施しています。当初はデジタル部門の担当者向けでしたが、現在は人事部門が主体となり、営業等デジタル部門以外の社員も対象に加えて全体で実施する形となりました。研修の内容は、基礎的な内容から上級者向けまで、受講者のレベルに合わせて企画・実施しています。現在はクライアント側の担当者も知識が豊富になってきているため、研修レベルの引き上げが必要になっていると感じています。

デジタル広告健全化や業界の未来に向けて

アドフラウドの手口は巧妙化し続けているため、配信プラットフォーマー側のテクノロジー強化は必須であると思います。広告会社としては、広告本来の目的や成果を実現するためのデジタル広告の適切な使い方をクライアントに啓発していくと共に、クリエイティブや体験価値を高めユーザーに魅力的だと感じてもらえるような広告を増やしていくべきだと考えています。

現在の課題意識・リスク事例について、個人的には、誤タップを誘発するような広告表示が増えていることに懸念を抱いています。誤タップを誘発する広告はユーザーに悪い印象を与えてしまいますが、広告のレポート上では「クリック率(CTR)が高い」と誤認され、機械学習によって不適切な形で最適化が進んでしまうリスクがあります。レポート上の数字だけを鵜呑みにせず、「この結果は本当に良いものなのか」を多角的に見極めることが重要です。価値(コンバージョンなど)に基づいた最適化を進めることで、数字のためだけの配信が増加することを防ぐことができると考えています。

JIAAの調査によると、インターネット広告の信頼度は、いまだにテレビや新聞よりも低いとの結果が出ています。AIなどのテクノロジーを不正に利用するのではなく、「必要な情報が必要な人に届く」ために活用し、「この広告は良い」とユーザーに思ってもらえるような体験を増やしていくことが理想的です。特に、広告への信頼度が低い高齢者層が、もっと安心してデジタルを活用できる環境を整えるべきだと考えています。高齢者こそ、通販やフードデリバリーなどデジタルの恩恵を受けやすいはずですよね。弊社にはシニアマーケティング領域での実績や新聞広告など高齢者層との接点に関するノウハウがあるので、その知見を活かし、高齢者に受け入れられるコンテンツやコミュニケーションをデジタル分野でも展開していきたいです。

一般社団法人デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)ウェブサイト

本記事に関するお問合せ:  担当 前田・武田
MAIL:maeda@jaaa.ne.jp ; takeda@jaaa.ne.jp
TEL:03‐6281-5717

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