第52回 懸賞論文 受賞者 天野 徹氏
第52回懸賞論文
論文銅賞課題:広告と幸福
プロフィール
2005年、㈱電通入社。メディア部門、ストラテジッ クプランニング部門を経て、現在はソリューションディレクターとして様々なクライアントのプランニングをリード。近年は、「CXの変革」をテー マに、ブランド戦略の立案からPDCAまでを一気 通貫で手掛けている。
受賞コメント
世の中から厳しい目線にさらされている今だからこそ、広告という産業が持つ意味を考え 直してみることが大切だと思います。 今回の論文テーマで、そのきっかけを与えて頂いたことに感謝しています。 受賞を出発点として、さらに考えを深めていきます。ありがとうございました。












「現代は消費=幸福ではない」ことを前提とする作品はいくつかあったが、この作品は「コミュニティの一員であること」がこれからの幸福だと据えた点に特徴がある。その上で、企業と生活者がブランドを共有するコモンズづくりを提唱している。広告会社はそこに人流を生み出す役割を担う。審査会では、事例が“地域”に関わるものだったので主張が狭く捉えられていた感があった。だがわたしは、幸福とブランドをつなげるセンスに感心し、高く評価している。
オリコム 白土栄次
消費を志向する「DO型」から一員であることを志向する「BE型」へ。幸福感の変化をとても簡潔かつ明瞭かつ的確に表現することで、「広告と幸福」という今回の論文テーマに切れ味鋭く立ち向かった論考です。納得性と蓋然性の高い提言がちりばめられており、変革に向けて一歩を踏み出そうとする背中をそっと押してくれます。
東急エージェンシー 飯塚久哲
本論文には「企業がブランドの所有をゆるやかに手放し、生活者をブランドの所有者として巻き込んでいく」という印象的な一文があります。無数のSNSで膨大な情報が受発信される時代、ブランディングの主語が企業から生活者へ移っているのだとしたら、何年かあとには本論の提起する「ブランドコモンズ」という概念から「ブランド」という語すら消えているのかも知れないと思わされる、預言的な論考でした。
博報堂 伊藤耕太