2025年8月1日
一般社団法人 日本広告業協会
経理委員会
『下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律』の成立について
令和7(2025)年5月16日の国会で『下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案』が可決・成立し、令和8(2026)年1月1日から、現行の『下請代金支払遅延等防止法』が『製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律』(略称:中小受託取引適正化法、通称:取適法)に題名を改めて改正・施行されます。
今回の改正では、手形払の禁止や振込手数料の受注者負担の禁止、従来の「資本金基準」に加えて「従業員数基準」が新たに導入されることによる親事業者・下請事業者の範囲の拡大など、多くの企業が対応すべき改正項目が含まれています。
その他、価格協議の義務化、運送委託の対象取引への追加、面的執行の強化などが盛り込まれ、また、「親事業者」を「委託事業者」に、「下請事業者」を「中小受託事業者」に改めるといった用語の見直しも行われますので、施行前に十分な準備と対応を進めていただくことが重要です。今後の対応に向けて、改正内容をご確認くださいますようお願い申し上げます。
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法律の概要
<規制の見直し>
(1)協議を適切に行わない代金額の決定の禁止(価格据え置き取引への対応)
対象取引において、代金に関する協議に応じないことや、協議において必要な説明又は情報の提供をしないことによる、一方的な代金の額の決定を禁止する。
(2)手形払等の禁止
対象取引において、手形払を禁止する。また、その他の支払手段(電子記録債権やファクタリング等)についても、支払期日までに代金相当額を得ることが困難なものは禁止する。
(3)運送委託の対象取引への追加(物流問題への対応)
対象取引に、製造、販売等の目的物の引渡しに必要な運送の委託を追加する。
(4)従業員基準の追加(適用基準の追加)
従業員数300人(役務提供委託等は100人)の区分を新設し、規制及び保護の対象を拡充する。
(5)面的執行の強化
関係行政機関による指導及び助言に係る規定、相互情報提供に係る規定等を新設する。
(6)その他所要の改正を行う。
<「下請」等の用語の見直し>
用語について、「下請事業者」を「中小受託事業者」、「親事業者」を「委託事業者」等に改める。また、題名について、「下請代金支払遅延等防止法」を「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」に、「下請中小企業振興法」を「受託中小企業振興法」に改める。
施行期日
令和8年1月1日(ただし、一部の規定は本法律の公布の日から施行)。
引用元:『「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」の成立について』(令和7年5月16日・公正取引委員会/中小企業庁)