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株式会社 ジェイアール東海エージェンシー
制作部

石元 隆文

「ラッキーアイアンフィッシュ」

カンボジアでは、人口の約半分が鉄欠乏による貧血に苦しんでいた。解決策は、鉄製の板を日々のスープと一緒に煮るということだった。とても簡単なことだが、食べ物と鉄片を煮込むという行為への抵抗感から、その解決策は浸透しなかった。そんな中、あるデザイナーが、鉄の板を魚の形に変えた。問題は一気に解決した。カンボジアの人たちにとって、魚は幸運のシンボルだった。「鉄を魚の形にする」という簡単な(簡単に思いつくというわけではない)アイデアが、食べ物に鉄片を入れることへの抵抗感を解消したのだ。そして実際に鉄欠乏による貧血は50%も減少したという。さらには、その製造が、現地の方々の雇用機会まで生み出した。その鉄の魚はラッキーアイアンフィッシュと名付けられた。このエピソードは、大学在学中に講義の中で知った。カンヌライオンズグランプリを獲得しているため、本誌をお読みの方々の中には、ご存知の方も多いかもしれない。
デザイナーになって3年と少しが経った。だんだん、広告制作に対する予算感を掴み始めていた。最近は、案件の予算を聞いただけで、あれはできる、これはできないと、勝手に制作のスケールを決めつけてしまっていた。ただ、かっこいいな、作ってみたいなと眺めていた広告のデザインを、どれくらいの予算で制作されているのかなという目線で見ることが増えた。大規模な予算で作られた広告を街中でみると、羨ましく思った。僕だって機会があれば、なんて、今思えば新人の平凡な嫉妬状態に陥っていた。そんな時に、ラッキーアイアンフィッシュの話を思い出した。
広告の制作に、様々な制限や制約はつきものだ。その内容については、本誌をお読みの方々の方が詳しいだろう。しかしそれを、シンプルなアイデアで乗り越えたり、逆に強みにできることも広告制作の面白みだ。そうやって、話題になった広告の事例は、枚挙に遑がない。アイデア、デザインで、どんな難問もクリアできる。と、学生の僕に感じさせてくれたラッキーアイアンフィッシュのエピソード。いつか自分も、と思っていたはずなのに、社会経験に揉まれ見失っていた。足りていなかったのは予算ではなく、より良くするための工夫を模索する姿勢だった。予算がないなんて一丁前に嘆く前に、それを楽しみ、乗り越えるようなアイデアを考えることが君の役割だよ。とラッキーアイアンフィッシュがまた僕に教えてくれた。

参考サイト https://luckyironfish.com/

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